私はレインウェアやハードシェルを、雨の日や汗をかいた日に着用した後はこまめに洗うようにしています。
素人が洗うと性能が落ちるのではないか?仮にプロに任せたとしても「洗う」という行為自体が製品に良くないのではないか?と思われている方が多いですが、そんなこと無いですよ。
まずゴアテックスのような防水透湿性素材を使用した製品は、着たら洗ってあげないと逆にどんどん性能が低下してしまいます。こまめに洗ってきれいな状態を保つことで撥水・防水・透湿の三大性能を維持することができるのです。
そして洗濯方法も意外と簡単で、これからお話しするポイントさえ押さえれば、普段洗濯をされない方でも簡単にできるやり方です。
なぜこまめに洗った方が良いのか??
- ウェアの表面に泥や土・大気の汚れなどが付くことで、撥水性能が低下するとともに、衣服内部の汗を発散させる表地の目を埋めてしまい透湿が悪くなる
- 行動中、人は感じる以上に汗をかいています。真冬でもです。かいた汗は吸水速乾シャツが吸い上げてさらに外へ放出します。その放出された汗・皮脂がゴアテックスのような防水透湿フィルムの細かい網の目に詰まってしまうのです。詰まると透湿性能が発揮できずにサウナスーツ同様、衣類の中で“蒸れ”が起こり汗で体が濡れてしまいます。
- 2に付随することですが、フィルムの目詰まりに加えてフィルム自体が油の付着で劣化が早まり2年程度で剥離するケースもあります。
どう洗えば良いのか?
とても簡単です。普段の洗濯とほぼ変わりません。もちろんご自宅でできます(乾燥の工程以外)。以下のポイントを一つも漏らさず行うことで新品に近い状態を保つことができるため、ぜひ今日から実践していただければと思います。
まず使用する洗剤ですが、登山用品店で売られているレインウェア・ハードシェル専用洗剤であれば間違いありませんが、実は家庭用洗剤でも対応できます。その場合は以下の2点を満たす洗剤をご用意ください。
・中性洗剤
・柔軟剤・漂白剤・蛍光剤が入っていないもの→これらが入っていると性能低下につながるので、成分表を必ずチェックしてください
私が知っている上記を満たす洗剤は、「スーパーナノックス」「アタックネオ」「さらさ」辺りで、いづれも私自身も使っていますのでお好みで大丈夫です。もっと探せばそれ以外にもあると思いますので、それでも大丈夫です。私的には、土汚れを落とすにはこれ、汗臭さをとるならこれ、沢登り後に川臭さを取るときはこれが適してる、みたいな自分の中での商品ごとの経験で掴んだ特徴がありますが、レインウェアの洗濯ならばどれでも良いです。
洗剤を用意しましたら、ご自宅の洗濯機で「洗い」「すすぎ」のみを設定して洗うだけです。
「洗い」時間は汚れの度合い次第ですが、5分から最大でも12分も洗えば良いと思います。「すすぎ」は洗剤残りを防ぐためにちょっと多めに2回はやっといた方がよいかなと思います。
ここで注意していただきたいのが、「脱水」は絶対にやらないことです。レインウェアが水を通さないため洗濯槽内の排水が完全にできず、水が多少溜まった状態で洗濯槽が回転するために遠心力で洗濯機が倒れる・壊れることがあるためです。
さて「すすぎ」まで終わりましたら、びしょびしょに濡れた状態のウェアを洗濯機から取り出し、、、ご自宅近くのコインランドリーに向かいましょう。そのまま乾燥機にウェアをぶちこみ(温度設定が出来る場合は低温にする)、冬用の生地厚のあるハードシェルならば20分、夏用の薄手のレインならば10分間を目安に乾いたかどうか時々確かめながら乾いたら取り出すって感じで回します。
昔は銭湯の隣の汚い(失礼!)イメージでしたが、最近のコインランドリーはおしゃれですからね、私は外国製のコーヒーマシンで買える挽きたてコーヒー飲みながらスマホをいじりながら終わるのを待っています。
なぜ最終工程でコインランドリーに行くのか?
それはレインウェアというものは、洗濯後に干して乾かしただけでは撥水性能が戻らないからです。メーカーが施した撥水加工を再度復活させるには、表地に熱を加える必要があるのです。
この熱は家庭用洗濯機の乾燥機能では低温すぎるため、ガス乾燥機または業務用(コインランドリー)乾燥機がちょうど良いのです。もちろんあまり熱すぎても生地が溶けてしまいますから、温度設定できる機械であれば中温に設定する、や温度設定ができない乾燥機の場合は5分ごとに開けてみて生地が熱くなりすぎていないか確認した方が良いです。が、あくまで私の経験にはなりますが、20分であればセーフティーラインです。(とはいえ、一応ご自身の管理の下でお願いします)
ちなみに面倒でない方は、しっかり干して乾かした後に「アイロンをかける(温度設定は選択表示に従ってください)」「ドライヤーをウェア表面が熱くなるまで満遍なく均一に当てる」でも同様の効果が得られます。けども私は面倒なのでコインランドリーを使ってます。
これらの手順で、雨の日に着用したとき、または風よけで着用し汗をかいたとき、にはぜひこまめに洗うようにしてあげてください。
ただ何度か洗ううちに、熱を加えるだけでは撥水性能が元に戻りきらなくなってきます。雨が表地の表面で水玉にならずに、べチャっと滲んでしまう状態(さらに低下すると表地に染み込んでしまい色が濃く変わった状態)が目安です。
そうなりましたら登山用品店で販売されているゴアテックス用の撥水材(スプレータイプではなく(仕上がりにムラが出やすいため)、洗濯機に入れて使用するタイプ)を購入し、商品ボトルに記載されている方法通りにご自宅の洗濯機で撥水加工をしてあげてください。(大半は上述の洗濯と同じく「洗い」「すすぎ」のみを行う)
その時も、終わりましたら同じように乾燥機で熱を加えてあげてください。