大丸戸尾根は大正〜昭和初期まで、柳平から国師ヶ岳に向かうクラッシックルートとして利用されていました。戦後は地元の山岳会が整備しながら細々と使われていたものの、昭和44年に大弛峠まで車道が開通して以来、一般登山道では満足できないごく一部の藪道マニアのみ訪れるコースとなっています。
特に下遠見から大丸戸と鳥ノ尾根の分岐辺りのルートファインディングは初見ではかなり難度が高く、私も初めて訪れた際は鹿道に幾度も惑わされながら1時間掛けてようやく道を見つけることができました。
まあそもそも登山道と呼べるような道はどこにも残っていませんので、下山する方角さえ間違わなければ通れるところを降りれば良い訳なのですが。
というコースを、まずは大弛峠から夢の庭園を通り国師ヶ岳へ。
金峰山と五畳岩、その奥には南アルプスが顔を出していました。
奥秩父連峰最高峰 北奥仙丈ケ岳です。
北奥仙丈ケ岳から先は人もあまり入らない藪道、石楠花新道を進みます。
奥千丈岳。
一般登山道の石楠花新道ですらシラビソの縞枯や台風の影響でこの通り荒れ放題です。
さらに進むと林道に出ます。ここが2,154m 白檜平(しらべだいら)。林道を越えてゴトメキへ向かいます。
ここがゴトメキ。遠見山と黒金山への分岐です。
ゴトメキとは「御止木」と書き、江戸時代に幕府の直轄地であったこの土地の木は伐採することを禁じられていたために付いた名だそうです。
そのゴトメキには昭和40年に雪崩で遭難された方の遭難碑が建てられています。
下遠見から先は年間の入山者は僅かですので獣道以外の踏み跡は皆無です。また地形図に引かれたトレイルもほぼ当てになりません。地形図と実際の地形を照らし合せながら、コンパスで下山地を特定しつつ進みます。